【書評】難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!

貯金はあるけど投資はしてない社会人へ】「お金のド素人」の質問に「お金のプロ」が答えていく本書。「銀行には近づくな」や「投資信託の99%は検討にも値しないゴミ」など、投資未経験者が最初に知っておくべき知識が満載。

『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』の要約(ウージー的解釈)

「投資に興味はあるけれど、面倒だし難しそうだし、損をしそうで怖い」という人なら、国内株式の投資信託と外国株式の投資信託を半分ずつ買って、あとは基本的に放置しておけば、平均で年利5%程度は期待できる

この本をお勧めしたい人

  • ある程度の貯金はあるけど投資は未経験、という人
  • 投資や資産運用に興味はあるけど、「なんか難しそう」で手付かずだった人
  • 結局どの投資信託を買えばいいのか、答えが欲しい

『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』について

では改めて、本書についての紹介です。


本書は「お金のド素人」の大橋弘祐さんの質問に「お金のプロ」の山崎 元さんが答えていくというスタイルで進みます。

なお山崎 元さんは経済評論家で、金融業界での経験も長い、まさしく「お金のプロ」。そして大橋弘祐さんは作家、編集者という立場です。

本文は二人の会話形式なのでどんどん読み進めることができ、それこそ「ド素人」でも簡単に理解できるように構成されています。


また、「銀行の窓口では金融商品を買ってはいけない」「投資信託の99%は検討にも値しないゴミ」「どの保険も入らない方がいい」など、読んでいる方が不安になるくらいの本音が満載なのも特徴です。


投資の入門書というと「基本的な考え方や基礎知識だけを紹介して終わり」というのがありがちですが、本書では「現時点で買うべき投資信託」として具体的な商品名と購入方法も書かれているなど、投資未経験者にとって非常に親切な内容になっています。

そのため、「なんとなく貯金はしてるけど、投資とかもやった方がいいんだろうな。でも難しそうだし、面倒くさいし。結局のところどうすればいいのか、誰か結論だけ教えてくんないかな」という人にとっては、ほぼベストと言える一冊です。

素人でも年利5%程度は狙える

インフレリスクがあるので、預金だって絶対安全ではない

投資はしたことが無いけど、ある程度の貯金はしている。

こういう人はけっこう多いと思います。

特に日本人の貯金好きは有名ですし、普通に働いて浪費さえしなければお金は自動的に貯まっていきます。


「銀行に預金しておけば投資と違って減ることもないし、手間をかけて定期預金に切り替えても金利は0.1%上がるかどうか。だったら普通預金のままでいいや。面倒くさいし。」


その気持ち、分かります。

ただ「預金しておけば減らない」というのは、あくまでも「金額」の話

インフレ、つまり物価上昇が起きれば同じ「金額」で買えるものの量が減ります。
つまり、お金の「価値」は減るのです。

仮に1つ100円で売られていたリンゴが1つ120円に値上がりすれば、それはお金の「価値」が20%減ったのと同じです。

今の日本では銀行に預けていても100円はずっと100円のままなので、預金だけを続けていてはインフレによってじわじわと資産の「価値」が減っていくわけです。


もちろん1年や2年でそこまで急激に物価が上がることはありませんが、それでも10年、20年といったスパンで見れば無視できないほどの差が出てきます。

つまり現役世代のときにコツコツ貯金しても、いざ老後に取り崩そうと思ったときには貯金の価値は目減りしているかもしれません。


そんな事態を避けるためにも、資産の一部をインフレ耐性のある株式などに振り分けておくことは、合理的な判断と言えます。

日本の若い人は資産運用からは逃げられない

ここ数年で、つみたてNISAやiDeCoなど、個人が老後資金を作るための制度がどんどん整えられています。

この動きに「制度は作ったから、あとは自己責任で老後に備えてね」という国からのメッセージが込められているのは明白ですよね。


早い話、日本という国はもう、今の現役世代より下の世代の老後の面倒を見る責任を放棄しています


ひどい話だとは思いますが、嘆いても怒っても状況は良くなりません。

なので今の若い世代は、自分自身の人生について真剣に考え、日々の行動を改めていく必要があります。


極論を言えば、日本という国を出てしまうのも一案です。

ただ、私を含めて大多数の人は、きっと老後もこの国で暮らしていることでしょう。

だとすれば、将来に対する備えは必須です。


貯金だけではインフレリスクに対応できない以上、何らかの資産運用が必要になります。

そうは言っても、投資にそこまで興味を持てない普通の人にとって、資産運用のハードルはとても高く感じられるわけです。

その点、本書で紹介されている運用方法はいたってシンプルで、手間もほとんどかかりません。

株式指数連動型の投資信託を購入し、持ち続ける。
そして、現金が必要になったときに必要な金額だけ売却する。


これだけで、平均して年利5%程度の利回りが期待できます。


本書の中でも「もう資産運用からは逃げられないと思ったほうがいい」と言われていますが、ほとんど手間もかからずにこれだけのリターンを狙えるのであれば、冷静に考えて「そもそも逃げる必要無い」わけです。


投資に対するハードルは、意外と低い。
本書を読むと、そのことに気づかされます。

証券口座の開設と、年に数回の投資信託の売買。
こんな、ほんの少しの面倒な作業が、将来に大きな違いとなって表れてきます

金融機関は「売るため」に将来の不安を煽る

40代以下の日本人なら「この国と自分自身の将来に対して明るい展望を描いている」という人は少ないと思います。

  • 年金は減り、しかも受給できる年齢は後ろにずらされ、税金は上がり、社会保険料も上がる。
  • 子供が減って人口も減り、なのに高齢者の数が増え続ける。
  • 不動産の価格は下落し、黒字の大企業でもどんどんリストラが行われる。
  • 道路や水道などの生活インフラは老朽化が進み、それが原因の事故も起きている。
  • 国の借金は1000兆円を超え、今も毎年増え続けている。

数え上げればきりがありませんが、とにかくこの国の未来が右肩下がりなのは間違いなさそうです。

そんな現実を前にしては、「ヤバい、何か対策しなきゃ!」と不安になるのが人情というもの。


もちろん、対策は必要です。

ただ、例えば銀行の窓口などで過剰に将来の不安を煽られた場合などは注意が必要です。

なぜなら、不安な気持ちを煽ることで、異常に手数料の高い金融商品などを売りつけようとしているのかもしれないから。

銀行だって営利企業です。
そこで働く人の給料だって、まだまだ高給取りの部類に入ります。

その高い給料が、一体どこから出ているのか?
冷静に考えてみる必要があります。


銀行に勧められるがままに金融商品を買うと、ほぼ確実に損をする
だから大切なのは、自分の頭で考えること。


本書を読むと、そんな視点を持つことができます。

『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』は投資未経験者が最初に読む本としてお勧め

「お金のプロ」が本音で素人の疑問に答えてくれる本書。

しかもアドバイスを受ける素人が「僕、そんなに金融の勉強しないと思うんです」と謎の自信を持っているレベルなので、誰が読んでも「難しい」と感じるような内容ではありません。

かと言って内容が薄いかというと、むしろその逆。

ある程度の投資経験がある私が読んでも、いくつかの新しい視点を得ることができました。

「投資とかあんまり興味ない。でも今のご時世、やっぱ勉強した方がいいんだろうな」

そんな漠然とした不安がある投資未経験者の人にとっては、必ず大きな学びになる一冊だと思います。

プロフィール

自由になりたくて高配当株を買い増ししている、30代既婚子持ちの共働きサラリーマンです。
投資や節約、子育て、副業、共働き、といった内容で記事を書いていますが、基本的には「誰かの役に立つかもしれない日記」です。
無理をせず、でも投げ出さず。小さな行動をコツコツと積み上げていきます。

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